●「生物多様性地域戦略」はなぜ必要?
生物多様性は、私たちに欠かせないものです。しかし、人間の活動によって劣化が急速に進み、世界の課題となっています。その解決には、地域レベルでの取り組みが重要で、地域戦略の策定や地域で活動する多様な主体(市民、行政、事業者、専門家など)の取り組みが求められています。
こうしたことから、日本は1992年に「生物多様性条約」に調印、2008年に「生物多様性基本法」を施行し、「地域戦略の作成」を地方公共団体の努力義務としました。
東京23区内ではすでに11区で「地域戦略」がつくられていますが、江東区ではまだ作成されていないことから、市民の立場から江東区における生物多様性地域戦略をまとめました。
●「生物多様性“江東”プラン」がめざすもの
江東区に求められる「生物多様性地域戦略」は、江東区の地形、気候、歴史や、現在の私たちの生活に基づいたプランが必要です。
「生物多様性“江東”プラン」の基本的行動計画
(1)生物の生息地確保とネットワーク化
①大規模なビオトープの確保
②エコロジカルネットワークの形成
③公園緑地・オープンスペースの活用や
SDGs、グリーンインフラに基づく整備
(2)生物多様性調査と生態系管理
①保護すべき種類に関する資料の作成
②維持管理体制の綿密化、粗放化
③順応的管理手法(ビオトープ)
④生態系に悪影響のある外来種の計画的駆除対策
(3)地域資源の活用
①都市農業との連携
②屋上農地の整備等による自給率アップ
③江戸前漁業の復興
④緑のリサイクル堆肥の畑利用による循環系の回復
⑤観光資源の活用とグリーンツーリズムの奨励
(4)連携・支援・協働・教育
①市民団体、NPOの連携・支援・協働
②周辺区、都、国との連携
③幼児期からシルバー世代までの生涯学習としての
環境教育の必要性
(5)ライフスタイル及び産業の在り方の転換
(6)マネジメントシステム
①目標管理と継続的な改善
私たち一人一人が、こうした取り組みを進めることによって、江東区、東京、日本、そして世界、地球の生物多様性保全が図られ、生物多様性の恵みを絶やすことなく循環させることができます。